前回、子どもと大人のちがいを知ることの必要性を学びました。
今回もその「ちがい」について、さらに考えていきたいと思っています。

前回、そして今回と、参考にしている著書『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』の第1章は、「自然からもらっている宿題」というタイトルがついています。
自然からの宿題とはいったいどういうものなのでしょうか。
本のなかにこんな記述があります。

子どもが自然から与えられたその独特の生命力と、その独特の生命力を使って成し遂げねばならないこと、すなわち「自然から課されている宿題」を大人は知らなければなりません。(p17)

「独特の生命力」と、それを使って「成し遂げねばならぬ」こと。
この言葉だけ見ると、うーんと眉間にシワを寄せてしまいそうですが、その後の文面に出てくる「自ら生きようとする生命」というワードを含めて考えると、その意味が少しずつ透明になった気がします。
つまり「自分でやりたい!」という意思や動機が発生し、そして「自分でできた!」という体験を通して能力や自信を育んでいくこと。そしてそれを繰り返す過程。それらをひっくるめて「宿題」と呼んでいるのではないでしょうか。

モンテッソーリは、子どもだけでなく、大人にも「自然からの宿題」が課されているのだといいます。
その宿題とは、自ら生きようとする生命に仕えること。
自身の考えや力で子どもを支配し動かすのではなく、子どもを自律的な存在として認め、そのサポートをすることが重要だと強調しています。

「子どもの体に仕えることではありません。生命に仕えるのです。(中略)子どもが自分の心と体を自分で使って、その時期に成し遂げなければならない課題に取り組めるよう励まし続けることが生命に仕えることです。大人がしてやるのではなく、子どもに自分でさせるのです」(p19)

子どもと大人それぞれが、「自然からの宿題」を課されています。
大人だけの考えであれもこれも詰め込もうとしてしまうと、それは子どもにとっての「宿題」を奪ってしまうことになりかねません。
「この子のために」という清らかな想いが成就するためにも、子どもがいま、なにを感じ、なにをしようとしているかを分かろうとする努力から始める必要があるのです。
それが、生命に仕えるための第一歩になるのだと思います。

【参考・引用】

「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(1985) 著・相良敦子
 第1章「自然からもらっている宿題」
  ー2「自然からの宿題」

(2015-01-03-Sat)